ユニクロとディズニー共催によるUTGP 2016 入賞モデル。
カリフォルニア州にあるPixarスタジオのポップアップストアーでの販売を皮切りに世界中のユニクロの実店舗とオンラインで販売されました。

『友情とは何か』をテーマに世界中のグラフィックデザイナーがピクサー映画のキャラクター使用し、Tシャツにデザインを落とし込みます。

私にとって「友情とは何か」を考えた時、2010年に日本出国間際に見送ってくれた方々の姿が思い浮かびました。アメリカに来た最初の頃は彼らと離れることが辛く、また自分だけ物理的に接触できないところにいて過去の存在になることになってしまうのではないかと不安でした。

しかし、それから数年経った今でも日本に帰った際に彼らは変わらず接してくれるのです。その時に友情とは、いつも一緒にいることではなくて、電話をかけたらすぐつながるような関係ではなくて、もっと違う何かで繋がっていて、それは離れ離れになっても切れるものではない、と漠然ですが、確信めいたものが生まれました。

次にTシャツを見ると、Tシャツの袖の部分がまさにT字路のようにそれぞれ反対方向に進んでいきます。ということであれば、試しにそれまで一緒に歩いていた二人を一度そのT字路の部分で離れ離れにしてみるのですが、この時彼らに後ろを振り返させるようなことはしていけません。ただただ、彼らが思う道をそのまま突き進ませるのです。

そして、ここで不思議なことが起きるのです。

迷うことなくそれぞれの道をまっすぐ突き進み、そのままTシャツの裏側まで進んでいくと、なんと二人はまた背中の辺りで再会することになりました。この時の感動は今でも覚えてます。「離れてもまたつながる」、これこそ自分の思う友情だと。

素材には対照的な姿が印象的な凸凹コンビ、モンスターズインクから大きく全身青い毛に包まれた「サリー」と緑の球体に大きな単眼「マイク」を選択、私のデザイン上のルール「言葉で説明しない」を守るため、友情を示す言葉を使わずビジュアルテリングだけで作成することができたのはフィルムメーカーとしても誇りでした。

製品デザイン調整の段階では、Tシャツを重ねた時に足跡が繋がっていくように最後まで話し合いを重ねました。
みんなで着た時に足跡を繋げることができるので、これがまた再会のきっかけになればと願い、デザインさせていただきました。